旅先でのライフスタイル
・メンタル

旅の様相はその目的や形態、期間によって様々です。観光の団体旅行や個人旅行、仕事の短期出張、駐在、留学など、千差万別です。また、その中で感じるストレス要因も個々で異なります。時差、気候、言語、文化、食事、治安などの違いがストレスを生じさせます。

慣れ親しんだものと異なる文化や習慣、考え方に触れた際に経験する、心理的なショックがいわゆる『カルチャーショック』です。このショックは、通常、時間の経過とともに緩和されますが、それが長引き、大きなものだと不安や緊張となり、適応障害や心身症につながります。

新しい文化や習慣への適応は以下の①~④のような段階を踏むことが多いとされます。
ハネムーン期:物珍しい環境にわくわくしている時期です。あまり難しいことを考えず、無我夢中で過ごします。
カルチャーショック期:現地入国後、しばらく経つと、現地の人と上手くコミュニケーションがとれず、考えをめぐらすようになります。
回復期:理不尽だと思っていた行動が、文化の違いからくるものであると気づくようになります。
適応期:滞在国の文化を理解し、受け入れるようになります。

上記②カルチャーショック期が、長引いてしまうと、心身に悪影響を及ぼし、‘適応障害’や‘心身症’へ移行してしまいます。
‘適応障害’は、ある特定の状況や出来事が、その人にとってとてもつらく耐えがたく感じられ、そのために気分や行動面に症状が現れるものです。その症状とは、憂うつな気分や不安感から、涙もろくなる、過剰な心配、神経過敏等です。また、無断欠席や無謀な運転、喧嘩、物を壊すなどの行動面の症状がみられることもあります。
‘心身症’は、ストレスが原因で発症したり、悪化させる体の病気です。心身症は、以下のような疾患が該当します。

心身症の疾患例
・本態性高血圧・心臓神経症(パニック障害)
・気管支喘息・過換気症候群
・胃・十二指腸潰瘍・過敏性腸症候群 
・緊張性頭痛・片頭痛
・甲状腺機能亢進症、糖尿病
・アトピー性皮膚炎・顎関節症

海外での適応障害や心身症を回避するには…?

海外で適応障害や心身症に悩まないようにするためには、肩に力が入りすぎない、ほどほどに‘いいかげん’であることです。楽観的でゆったりとおおらかで過ごすことで、海外生活に馴染むことができます。『まあ、いいか』と少し物事を客観的にみる心の余裕を保ち続けると良いでしょう。そうすると、壁にぶち当たっても、壁と思わず、柔軟に対応することができます。
また、渡航前に予め現地の歴史や文化を知っておくことも大切です。現地の情報は、客観的に状況判断をするための大切な材料となります。