ジカウイルス感染症

ジカウイルスは、主にネッタイシマカによって媒介されます。日本に常在するヒトスジシマカも媒介をします。感染経路として、性行為や経胎盤感染、輸血に伴う感染も報告されています。ジカウイルス感染症は、出生後に感染して発症するジカウイルス病と、ジカウイルスが妊娠女性に感染して胎児が発症する先天性ジカウイルス感染症に大別されます。現在、中南米、大洋州、アジア、アフリカなどに流行国が存在します(図1)。

症状

潜伏期間は2~7日間で、ジカウイルス病の約20%は症状がありますが、約80%は無症状です。主な症状は38.5度以下の発熱や皮疹、関節痛、関節炎、充血性結膜炎、頭痛等です。感染後、数週間を経てGuillain-Barre症候群や髄膜炎を合併することがあります。また、妊婦が感染すると、胎児が先天性ジカウイルス感染症に罹患する可能性があります。

治療

特異的な治療はなく、対症療法を行います。解熱剤は、アセトアミノフェンを使用します。

予防

・現時点でジカウイルス感染症のワクチンはありません。媒介蚊は昼間吸血するため、昼間の防蚊対策が重要です。流行地域滞在の際には、長袖・長ズボンの着用、皮膚が露出する部位にDEETやイカリジン含有の忌避剤を使用しましょう。
・ジカウイルスに感染した男性の精液や女性の膣分泌物から長期間ウイルスが検出されるため、世界保健機関(WHO)は、流行国に滞在後の男性は3か月間、女性は2カ月間、性行為を避ける、あるいはコンドームを使用すべきとしています。
・海外渡航者や訪日外国人の増加のため、日本国内においても、流行地に滞在歴のある人からの国内流行は想定すべきであり、帰国者や訪日外国人へ防蚊対策が重要です。

参考資料:
ジカウイルス感染症予防の手引き
ジカウイルス感染症予防ポスター