~海外旅行や海外赴任に出る前に済ませておきたいe-learning~
デング熱
どんな病気か?
デングウィルス(写真1)の感染によって起こる熱病で、蚊(ネッタイシマカなど(写真2))がこのウィルスを媒介します。現在、日本国内でデングウィルスの流行はありませんが、アジア、中東、アフリカ、中南米などでは年間1億人近くの患者が発生しており、約25万人以上が出血熱を発症しています。流行する時期は蚊の繁殖する雨季に多いとされています。
国立感染研究所の発表によると、日本国内でも海外で感染した人が毎年100人前後発病しており、2010年は245人に達しました。デング熱にかかった人の年齢の中央値は29歳で、20代が最多、30代、40代がそれに続きます。また、感染した人が報告された滞在地域は、以下の表のとおりです。
(写真1)デングウィルス
(写真2)ネッタイシマカ
出典:
国立感染研究所Topic of this month Vol. 32 p. 159-160: 2011年6月号
2007年-2010年の日本人の患者の渡航先は42カ国・地域でした。東南アジアを中心としたアジア諸国が9割を占め、特に2010年はインドネシアが79例(うち51例がバリ島)で、その他インド、フィリピン、タイでの感染事例が多く報告されました。ただし、中南米、オセアニア、アフリカで感染したと推定される患者もみられました。
症状
感染後3~7日経過してから、発熱(38.0℃以上)、頭痛、目の奥の痛み、筋肉痛や関節痛といったインフルエンザ様の症状がでます。また、発熱して3~4日後から胸やお腹に赤~桃色の小さな発疹が出て、次第に手足や顔面に広がります。
通常は発熱してから1週間ほどすると解熱し、回復します。しかし、この時期に一部の人は、歯茎からの出血や血便や血尿といった「出血症状」、さらには「ショック症状」をおこし、重症化することがあります(デング出血熱)。重症化した場合の致命率は、治療を受ける国の医療水準にもよりますが、1%前後とされています。
予防
デング熱の予防のためには蚊の対策が重要です。
デング熱を媒介するネッタイシマカなどは、郊外だけでなく都市やリゾートにも出没します。この蚊は昼間吸血する習性がありますが、とくに日の出後と日没前は注意が必要です。蚊に刺されないようにするためには、肌を露出しない服装(長袖・長ズボンを着用)をするとともに、虫よけスプレー(忌避剤)、蚊取り線香などを併用しましょう。
虫よけスプレーの成分としてはディート(DEET:N, N-diethyl-m-toluamide)やイカリジンが有効です。どのくらいの濃度の製品がよいのか、子供や妊婦の場合はどうしたらよいのかなどの詳しい内容は、蚊が媒介する感染症の予防(動画)をご参照ください。
治療
デング熱に対する特効薬はありません。熱に対して副作用の少ない解熱剤を使用したり、失われていく水分を点滴で補給したりします。
大事なことは、デング熱にかかった場合、もともとは元気な人であったとしても、短期間のうちに重症化し、命を落とす場合もあるので、早めに医療機関を受診することです。
現地滞在中や帰国後に熱が出たら…
流行地に到着後、3~7日程度経過してから38℃を超える高熱が出たら、信頼できる医療機関で血液検査を受けましょう。発熱して間もない時期は、上気道炎(いわゆる「風邪」)や、インフルエンザなどと見分けがつかないこともあります。デング熱は迅速検査や血小板の減少などで、容易に診断がつくことがあります。自己判断で市販の解熱剤(とくにアスピリン系)などを使用した場合、かえって出血症状のリスクを高めることもあり危険です。病状によっては入院して治療が必要なこともあります。
海外から帰国後に熱が出た場合も、早めに医療機関を受診してください。「最近、流行地への渡航歴がある」と、医師に伝えることが大切です。診断には血液のウイルス抗原や抗体の検査を行います。なお、デング熱にかかっているか心配な方は、「デング熱自己診断ツール」をご参照ください。
参考資料
デング熱に関してまとめた簡単なパンフレットです。
企業や旅行会社での教材としてご自由に使用してください。
⇒ デング熱予防の手引き(PDF)
リンク
厚生労働省検疫所ホームページFORTH「デング熱」へのリンクです。


